(推理小説・探偵小説)覚書

読後の覚書(主に推理探偵小説)

2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『ギリシア・ローマ神話』 ブルフィンチ 大久保博 訳

ギリシア・ローマの神々の物語を詩と共に味わう 最近、ヘロドトスの『歴史』や『古事記』を読んでいると、この手の伝説の域に入っている様なお話がもっと読みたくなってきた。この類の物語の中ではホメロスの『イーリアス』と『オデュッセイア』が最も古い部…

『潤一郎犯罪小説集』 谷崎潤一郎

谷崎潤一郎が描く妖しい犯罪心理 谷崎潤一郎は江戸川乱歩が心酔していた通り、実に妖しげな香りの犯罪小説を色々と書いていた。谷崎が犯罪小説を書いていた頃、つまり大正の中頃は、谷崎のみならず、芥川龍之介や佐藤春夫も似たような味わいの小説を書いてい…

古事記に纏わる副読本(kindle版) その2

古代神話を比較神話学的または民俗学的方法で読み解く本 前回は古事記の物語をまず最初に簡単に掴む為にお奨めの書籍の覚書を書いたが、今回は古事記に登場する日本の古代の神々とその神話の由来について一般向けに解説された書籍に関して覚書を残しておこう…

『D坂の殺人事件』・『心理試験』 江戸川乱歩

明智小五郎の登場と犯罪心理学のご愛敬 江戸川乱歩は本当に何にでも興味を持つ人で、まあ小説家に成るような奇特な人々は大体そうなのかもしれないが、当時流行っていたミュンスターベルヒによる心理学の書物なんぞも読み、その中の犯罪心理に関する部分から…

『見るまえに跳べ』 大江健三郎

今迄もそしてこれからも跳ばない、跳べない ここの処、大江健三郎を少しずつ読み返しているのだけれども、大江健三郎は読めば読む程、癖のある面白い小説群を残している。この歳になって読むと不思議な事に一層面白く感じる。段々と自分の感覚が大江健三郎に…

"The Lerouge Case" Emile Gaboriau (『ルルージュ事件』 エミール・ガボリオ)

古典ロマン長編の原点がここにある 江戸川乱歩の古典ベストテンを読み続けている。実はこの乱歩の古典ベストテンの中には、乱歩曰く「そこまで優れている訳では無いが他に候補が無い」という事で選ばれているものが3作あって、そんな風に書かれてしまうとそ…

古事記に纏わる副読本(kindle版) その1

古事記の物語を大まかに掴む為の本 最近、池澤夏樹・現代語訳の『古事記』を読むに当たって何冊かの古事記関連の書籍を読んだ。いずれも中々面白い処のある本だったので、覚書をしておく。 まず、ここで紹介する古事記関連書籍は全てkindle版のものである。…

『悪人志願』 江戸川乱歩

乱歩の多趣味が伺える初期随筆集 江戸川乱歩が日本で最も有名な推理探偵小説作家だと思うのだが、ある時期からは、推理探偵小説のを余り書かなくなって、どちらかと云うと推理探偵小説に纏わる随筆や評論の様なものを良く書くようになった。その本職である推…