(推理小説・探偵小説)覚書

読後の覚書(主に推理探偵小説)

大江健三郎

『見るまえに跳べ』 大江健三郎

今迄もそしてこれからも跳ばない、跳べない ここの処、大江健三郎を少しずつ読み返しているのだけれども、大江健三郎は読めば読む程、癖のある面白い小説群を残している。この歳になって読むと不思議な事に一層面白く感じる。段々と自分の感覚が大江健三郎に…

『芽むしり仔撃ち』 大江健三郎

この分断と衝突の時代に大江健三郎を改めて読む 『芽むしり仔撃ち』は1958年に発表された中編である。私はこの小説を10年少しくらい前に確かに読んだはずなのだが、再読中その記憶が蘇ることは殆どなかった。物忘れが激しいというのは何度も同じ小説を楽しめ…

『死者の奢り・飼育』 大江健三郎

大江健三郎の描く見えない壁 ふと大江健三郎を読み返している。私が読書を始めたころには大江健三郎はすでに大家であり、まもなくノーベル賞を受賞したことを覚えている。当時私は、大江健三郎の小説を読んだことはなくリベラル作家という柔らかい印象を持っ…